ご挨拶

 

教授  今吉 格 (Itaru Imayoshi)

 

 

2018年4月より、京都大学 生命科学研究科 高次生命科学専攻・システム生物学講座・脳機能発達再生制御学分野の、特定准教授に就任しました。附属生命動態研究センター・生体機能操作研究部門も兼務しております。2018年11月より教授の任を拝命しました。当分野は新設された研究室で、哺乳類の脳神経系の発生・発達・再編成について研究しています。また、遺伝子発現の光操作や、遺伝子改変マウスの開発も行っています。また、2020年11月より医生物学研究所(旧 ウイルス・再生医科学研究所)生命システム研究部門 幹細胞デコンストラクション分野、2022年4月より総合人間学部 自然科学系(生物科学)も兼務させて頂いております。

 

私は、大阪大学工学部を卒業後、京都大学 生命科学研究科に入学し、2008年に博士課程を修了(生命科学博士取得)しました。学部生時代は、微生物学を学び、修士・博士課程の間は、京都大学ウイルス研究所(現ウイルス・再生医科学研究所)の、影山龍一郎先生の研究室で、マウス脳の発生と可塑性の研究に取り組みました。

 

学部生時代から、複雑な多細胞生物の発生や機能発現に興味があり、せっかくなので一番複雑な脳の研究をしてみようと思い、影山先生の研究室の門を叩きました。当時、利根川進先生が書かれた「精神と物質」という著書を読み、分子生物学の最先端のテクニックを使用して、混沌と見える脳情報処理過程や、記憶学習といった高次脳機能の研究にチャレンジするということに憧れていました。

 

影山先生の研究室では、最先端のマウスの分子遺伝学のトレーニングを受けることができ、トランスジェニックマウスやノックアウト・ノックインマウスといった遺伝子改変マウス多数作成しました。それらを組み合わせることで、bHLH型転写因子による神経幹細胞の運命決定機構や、成体脳におけるニューロン新生について研究を行い、微力ながら脳の発生や可塑性の新たな一面を明らかにすることができたと思います。

 

幸運にも、それらの研究をするにあたり、研究室の先輩・同僚や共同研究者から、多くの新しい研究技術を学ぶことができました。マウスの分子遺伝学技術に加えて、イメージング技術、細胞の光操作技術や、行動神経科学や情報科学を学ぶことができ、これらは今では研究室の研究テーマを進めるにあたって必須の技術になっています。

 

博士(Ph.D.)の学位を取得して10年近くが経過して、自分が卒業した生命科学研究科で研究室を主宰させていただく機会を与えていただき、大変光栄に感じております。これからも、脳神経系の発生・発達・可塑性・再生の理解にむけて、研究に取り組んでいきたいと考えています。しかしながら、生命科学研究の進歩はとても速く、最新の技術の習得と柔軟な思考は常に必要です。そのためには、多様なバックグラウンドを持つ若い頭脳が切磋琢磨することが一番大事ですので、研究室の新メンバーの加入は随時募集中です。詳しくは、「募集情報のページ」をご覧になってください。

 

2018, 2020, 2022年吉日